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(蟹)

蟹の見てる世界˙˚ʚ( •ω• )ɞ˚˙

お隣のゆう子が教えてくれたこと

 

私には、ほぼ生まれた時からずーっとお隣さんとして育った幼なじみがいる。

 

名前はゆう子と言う。

 

私は4月生まれ、ゆう子は5月生まれで2週間も違わない。

 

私は生まれた時から体が弱く、家で絵を描いたり工作をする子供で、ゆう子は足の早い、活発な女の子。

 

いつもお隣に住んでいるのが当たり前だけど、そんなにべったりではなく、適度な距離感で成長したと思う。

 

中学生になり、反抗期を迎えると、ゆう子は真っすぐにぐれた。笑

 

そして悪い子になれずにいる私を、窓から迎えに来ては2人で小さな不良になった。

 

高校生になると、ゆう子は天真爛漫なまま、かなりダークな世界に出入りしていた。

 

私は進学校にもまれながらも、良い友人に出会い、正しく青春を謳歌していた。

 

高校3年の、卒業を目前に控えたある日、久しぶりにゆう子がやって来た。

 

ちょっと深刻な様子で、お腹の調子が悪いと言うのだが、なんだか違和感があった。

 

でも私たちは見ないふりをして、私は東京へ、ゆう子は神奈川へと旅立つ日を語り合った。

 

それからたった6ヶ月後に、ゆう子はママになった。

 

子供のパパである元彼と結婚したがものの2ヶ月も経たないうちに離婚した。

 

その時ゆう子は内臓を患っていて、1人で子供を育てることは困難だった。

 

ゆう子の祖母が縁談を持ってきて、ゆう子は子供を育てるためにそれを受けた。

 

隣の県の人。
全聾啞の人。
母親と同じ年の人、年の差19歳。
必ず、婚家の子供を産むことが条件。

 

地元からただ1人、披露宴に呼ばれた。

 

青森で生まれ育った私が衝撃を受けるほどの田舎だった。

 

余興で歌を頼まれたから、天城越えを歌ってやった。


怨んでも〜ってね。

 

ゆう子は綺麗だった。

 

 

間も無く、自身の第二子、婚家の長男になる男の子を産んだ。

 

しばらくして、待望の女の子を産んだ。

 

そしてすぐにもう1人男児を産んだ。

 

内臓の病気は悪化し、手術をした。
入院は半年にも及んだ。

曽祖母の介護、家事、子育て、農業(大規模)をこなす日々。

 

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そんなある日、かわいい女の子が死んだ。

 

曽祖母の介護にあたっている最中に、目を離したすきの事故だった。

 

ゆう子は衰弱した。

 

長い時間をかけて、持病とも戦いながら、元の天真爛漫さを取り戻していった。

 

 

東日本大震災が起こった。

 

 

この震災は、青森の産業を満遍なく打ちのめした。

じわじわと、仕事が成り立たなくなっていくなかで、60代の男性が心を病んでいった。

 

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ゆう子の父が、自宅裏で自殺した。

 

 

ゆう子の母が異変に気付いて、私の両親に助けを求めたが、時すでに遅かった。

 

ゆう子の母が精神を病んで入退院するようになった。

ゆう子たち姉弟で、さらなる悲劇が起きないように見守った。

 

ようやくそんな日々も落ち着きを取り戻したように見えた。

 

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ゆう子の2番目の息子、婚家の長男が自殺した。

 

 

中間子として育ち、繊細で難しい子供だった。

 

それから数年、私とゆう子はタイミングが合わず、会えずにいた。

 

その間私は、次にゆう子に会えた時、自分はなんと言うのだろうか…と思っていた。

 

こんな人生をゆう子が送るなんて、誰が予想できただろう。

 

私なら、どれか一つでも耐えられただろうか。

なんて可哀想な、ゆう子…

 

私は愚かにも、そんな風に思っていた。

 

 

 

神様のいたずらか、季節外れの帰省中に、ゆう子が訪ねてきた!!

 

「逢いたかった!」

 

お互いの心からの言葉はそれだった。

 

そして、ゆう子の口から語られたのは思いもよらない事だった。

 

昔からもう何度も家出して実家の周りに戻ってはウロウロしてたんだよー。笑

 

子供が亡くなった時には、一緒に逝きたいと思ったけど、私には他に3人も子供がいて、逝く事ができなかった。


とても苦しい幸せだった。

 

お父さんは、とても男気溢れる、見た目も麗しい人で、プライドもすこぶる高かった。
事業がうまくいかずに、家族を養えないとか、貧乏暮らしをするとかいう選択肢を嫌悪していた。


だから、身の回りの洋服から下着まで全て処分して、一番上等の服を着ていったんだよ。


うちの父ちゃんらしいなー。笑

 

次男は繊細で苦しんでた。もうどうしようもしてあげられず、本人もどうしようもなかった。


だから、楽になれたのだとしたら、よかった…

 

ゆう子は、全てを受け入れて、微笑んですらいた。

 

ゆう子はいつだって真っすぐで、ごまかす事なんてなかった。

 

学校のお勉強は全くできなかったけど、心をごまかさない事については天才だ!

 

自分と向き合うことをやめないで生きてきたから、ゆう子はこんなにも満ちてるんだ!!

 

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そして、私にこう言った。

 

 

「貴方も、思いついたら即行動せずにいられない人だもんね!」

 

 

それを聞いて、恥ずかしい…と思った。

 

違うよ、私今まで自分に嘘ついて生きてたんだよ。

 

今ようやくまた自分っぽくなってきたとこなの。

 

でもあえて、「うん、そうだよ!」って返事してみた。

 

これは私がこれから、自分と向き合う事や、行動する事から逃げないっていう宣誓のつもりで!

 

またお盆にでもあった時に、貴方らしいねって言われたいって思うから、怖気づいてないで動くよ。

 

 

ゆう子は小説よりも奇なりな人生を笑顔で歩く、神様みたいな人です。

 

もしも彼女が自伝を出すなら、私も悪友として登場する事でしょう。

 

今、ゆう子は間違いなく幸せです。

 

 

 

 


追、

ゆ「あ、私おばあちゃんになったよ〜」
私「ブフォ!!!」
ゆ「連れ子だった長男が、近所の一人娘と結婚して婿養子に入ったの。うまいこといくもんだねぇー」
私「…………お、おめでとぉおおおおおおお!!!!」

 

 

追追、

ゆ「うちの母がまさかのウルトラCだよー」
私「??」
ゆ「再婚したんだよー」
私「ブフォ!!!」
ゆ「おとなしい人って怖いよねぇ」
私「お……めでとうございます!」

 

 

 

追追追、
ゆ「そういえば今度アームレスリングの大会で東京行くよ!」
私「え?てか、誰が?え?レスリング?え?」
ゆ「母だよ、ばぁさん。あれ、知らなかったっけ?」
私「初耳だよ!!!」

 


やっぱ、出版したほうがいいと思う˙˚ʚ( •ω• )ɞ˚˙