お盆にやってくる祖父(夢)
何年かに一度、夏になると亡くなった祖父が夢に現れて食べたいものを告げます。笑
最初はわたしから見て父の妹達の夢に出てきました。
当時子供だったわたしが電話に出て家族の不在を伝えると、
「悪いんだけど、練乳の缶に入ってるやつそのままでいいからお仏壇にあげてくれる?
しつこくて寝られないのよ。」
と言われました。
ポカーンです。
でもまぁ、おばさんから言われたことですから、母に用意してもらって言われた通りにしました。
それから数年おきに、親族の誰かが日本酒の銘柄指定だったり、お菓子だったり、ウナギだったりを祖父に指示されたと言ってはお仏壇にあげました。
そしてついに私の夢の中にも現れました。
確かに祖父です。
祖父は必死にこう言う野菜がどーしても食べたいんだと説明するのですが、如何にもこうにも私にはわからない…
次の日にもまた説明されましたが、きゅうりのようなウリのような、そんな野菜を食べたいんじゃー!!って感じに熱く言われました。
生前の祖父は大変穏やかで物静かでした。
だからこれは確かに"夢"なんだろうと思います。
でも祖父は、独り占めで好きなものをこっそり食べる食いしん坊でもありました。
こんな夢を見たからには気にかかって仕方ないので、母に聞いてみましたが、とうとうわかりませんでした。
そのまんま忘れてしまって数年後、また同じ夢を見ました。
またもやもやが再燃です。笑
私の父は、霊だとかなんだとか、そう言う不確実なことが大嫌いなので、父には言ってませんでしたが、理由は言わずに、そんな野菜知ってる??と尋ねてみました。
それはきっと"糠塚きゅうり"じゃないか?
と、朗報が!
糠塚きゅうりは、八戸市の糠塚地域で育てられていた伝統野菜で、ほとんど市場には流通していないとわかりました。
父は糠塚きゅうりを育てている人を訪ねて、自宅でも栽培しました。
初めて夢に見てから何年経ったのかわかりませんが、やっとやっとお仏壇にあげることが出来ました。
その日、また祖父は夢に現れました。
スゴく喜んでました。
「でも、うちで作ってる味噌もあげてくれないとー」
と、さらなる要求をしてくれました。
母に伝えると、もう呆れた様子でハイハイそうですね、と味噌をあげたのでした。笑
長い年月をかけて、我が家は祖父からの食べ物の要求が当たり前になっていたのです。
糠塚きゅうりは、大変水分が多く、日持ちしませんし、料理にあまり適しません。
皮をむいて、お味噌をつけて食べるのが1番です。
食べたいな!
祖父のわがままのおかげで糠塚きゅうりを知り、夏の風物詩になりました。
お盆ですし、またわがまま言いに来てくれるかなー˙˚ʚ( •ω• )ɞ˚˙