頭を壁にゴンゴンするお医者様と精神科ジプシー
その友人にお茶の誘いを受けると、少しばかり気合いを入れる必要があった。
彼女は精神科やカウンセリングをハシゴする、精神科ジプシーだ。
自分の目先の不満を何処かに吐き出さなければ生きていけないと信じているかのように精神科を求めている。
ちなみに彼女は医療関係者だ。
ところが今回の彼女は別人のようだった。
憑き物でも落ちたのかと思うほどサバサバとして、それは美味しそうにスイーツを食べている。
青白く悲壮感漂い、食べ物に興味をなくしていたのはどこの誰だったか…
「もう病院にはいかないわ」
ケロリと言う。
精神科ジプシーの彼女は評判の精神科に予約を入れて、一月も待って受診したそうだ。
内容はまぁ…どこも同じ。
初回など、こちらの説明でおわる。
その後受付で精算を待っていると、先ほどの先生が受付に来て、婦長らしき人に何かを話しかけたそうだ。
それに対し、つっけんどんに何かを反論した婦長さんに声を荒げたが、婦長さんは知らん顔で見向きもしない。
すると先生はブツブツと婦長さんの不満を述べながら、ゴンゴンと壁に額を打ちつけ始めた…と。
慌てて病院スタッフが抱え込み、連れ去られて消えた!
それを目の当たりにした友人は、最初は驚いたけれど、なんだか…
急にアホらしくなって、病院はもういいやって心が冷めたそうです。笑
彼女の精神科ジプシーは、無駄じゃなかったんだなーと感心しました。
どんなに無駄で、間違いで、遠回りで、悪に見えたとしても、それが自分の行動なら、結局は自分のものになるんだなって思いました。
その後も彼女はグチが好きだけど、もう病院には行きません。
一緒に房総までドライブ行って、ちょっといい景色とスイーツと珈琲で心が整うことを知ってます。
何をすれば自分が喜ぶかを、知っているんです。